新井邦宏氏の言いたい放題 第1回
道場破り
道場破りは、突然やってきます。
「今から行くからマッテテね」「イチゴのショートケーキとFAUCHONの紅茶を用意していてね」などと、絶対に言いません。
その時、師範がいてもいなくても、勝負を挑まれ、負けて看板を持って行かれては、道場は潰れます。
この素浪人は、木刀勝負はしません。常に、真剣で勝負し、戦況に応じて、竹槍から核弾頭付きのトマホークミサイルまで武器を使い分けます。場合によっては、身内でも切り捨てます。
しかし、自分が勝てない相手とは決して戦いません。
いつもは、さいたまの畑近くの隠れ家で、勝てそうな相手を探し回り、相手が見つからないと、時として千葉の山奥で芝刈りをして暮らしています。また、戦いを仕掛けても、負けそうになると、対面も気にせず、一瞬にして逃げ去ります。
戦から、ほんの数分で撤退することも良くあることです。これが、素浪人が生き延びている究極の奥義です。
仕官している武士は、生活がかかっているので、殿の言うことには逆らいません。
しかし、素浪人はしがらみがないので、言いたいことを言い放ちます。
時として、嫌みに聞こえる言い方が多いかもしれませんが、勝てるのは1人、道場にいた9人は皆死んでいく現実が骨の髄までしみついているからです。
「素人だから」「まだ、なにも判らないから」と言っていると、すぐにぶった切られてしまいます。
相場は、突然買いになり、一瞬にして売られ、コチラの都合などお構いなしです。
甘やかすことで儲けられるなら、それに越したことはありませんが、現実は損失の山を築きます。
私は、厳しく言ってあげることが、その方の為になると確信しています。
少しくらい切られても、命に別状がなければ、傷は治ります。
しかし、手遅れになる深手を負ってしまっては、手の施しようがなくなります。大損してからでは手遅れです。
幸いにも、素浪人も貴方も、「株の達人」という戦略地図を見ながら、刻々と変わる戦況判断ができる環境にあります。
日々の鍛錬を怠ることなく、突然やってくる道場破りに叩き切られないように、返り討ちにしてください。