新井邦宏氏の言いたい放題 第9回
テクニカルと変化について
相場を分析し、売買する上で投資家として当然知っていなければならないことがあります。
それは「変化」についての認識です。「変化」という言葉は、日本語としては、「これまでの上昇が下落に変わる」あるいは「これまでの下落が上昇に変わる」と、それまでの方向が変わる意味で使われます。
しかし、相場に於ける「変化」と言う言葉には、3つの意味があります。つまり、
- 相場の流れが変わる。
- 相場の流れが変わらないで延長される。
- 相場の流れが加速する。
という意味です。
例えば、あるテクニカルポイント(移動平均線など)があって、今、相場が移動平均線の上で推移していたものが、移動平均線方向に下落しはじめたとします。
もともと移動平均線の上で推移していたので、これは上昇していたものが調整に入ったと判断されます。ここで、相場が移動平均線に接近しようとした時、この相場は上へ行きますか?それとも下に行きますか?
それは誰にもわかりません。そこで押し目となり上へ行く場合もあるし、そのテクニカルポイントを割り込んで下に行くかもしれません。さらに、今短期的に調整として下落していましたが、そこのポイントから一気に売りが加速するかもしれません。これは投げが入った為です。
この場合、押し目となるのは【1】の短期的な流れが変わったことで、そのまま同じ角度で下落していくのは【2】の下落の延長、そして急落するのは【3】の下落が加速したことになります。
はじめから相場がどのように動くか判っていれば、当然、売っておいたり買っておいたりする訳ですが、それが判らないのが相場です。
上記の話は「一目均衡表の変化日」の話ですが、本来テクニカル分析というのは、そこのテクニカルポイントで相場が上下どちらに動くか見るべきもので、その時どちらに動くかはマーケット参加者がどのように考えているかを確認し、その方向に自分の建て玉の方向を向けるしか方法はありません。
相場は刻々と変化するもので、自分が最初にポジションを持った時に考えたことが未来永劫続く訳などないのです。
仮に自分が買った時からどんなに状況が変わっても買いを持ったままにしたり、相場がどんどん下がり、それがテクニカルで下落に転じていると判断されても最初の買いを助けるために「ナンピン買い」をするような行為をしているのであれば、資産をなくすだけですので相場は辞めた方がよいと進言します。
「株の達人」の使用目的は、刻々と変わる相場の状況を判断し、常に自分のポジションと相場の方向が合っているのかを確認することにあります。
それがあっていればポジションは持ったままにしておけばよいし、食い違っていればいち早くポジションを外すことでしょう。日本人投資家が相場で負け続けているのは上記のことを実践できないからです。