パラボリックSARは、株価のトレンド転換を視覚的に捉えやすいテクニカル指標の一つです。今回は、このパラボリックSARの見方や使い方について解説します。
チャート上には、ローソク足とともに黒やピンクの点線が表示されます。この点線がパラボリックSARであり、正式には「パラボリック・タイム・プライス・システム」とも呼ばれます。この指標は、RSIなどを開発したワイルダーによって考案されたもので、特徴的な動きをすることがポイントです。
パラボリックSARでは、ローソク足の上下に表示される点線(SAR:ストップ&リバース)によって、株価の上昇・下降傾向を判断します。ローソク足の下にSARが位置している場合は株価が上昇傾向にあり、SARがローソク足の上側に切り替わると下降トレンドへの転換を示唆します。この点線の切り替わりがエントリーのポイントとして活用されるのです。
計算の仕組みとしては、SARには一定の値が設定されており、この値を株価が抜けることで上下の位置が切り替わります。つまり、株価の動きに応じてSARが自動的に更新され、トレンド転換のサインを発する仕組みです。
このパラボリックSARは、「加速因数(AF)」と呼ばれるパラメータによって、感度を調整できます。初期設定では0.02ですが、この値を0.05や0.06に増やすことで、価格変動への反応速度を高めることができます。ただし、感度を上げるとダマシの回数も増えるため、大型株やボラティリティの低い銘柄では0.02のまま運用する方が適していることが多いです。
パラボリックSAR単体での売買は、細かい値動きに翻弄されるリスクがあります。そのため、移動平均線と組み合わせて活用するのが効果的です。例えば、75日移動平均線に抑えられてパラボリックSARが売り転換した場合、明確な下降トレンドに入る可能性が高くなります。一方、短期移動平均線(25日線など)を下回っていない場合は、売り転換しても一時的な調整にとどまり、再び買い転換する可能性があるため、慎重な判断が必要です。
直近の動きでパラボリックSARが頻繁に買い・売りを切り替えている場合、無理にエントリーすると利益を取りにくいことがあります。そのため、売りが長く続いた後の買い転換や、移動平均線やトレンドラインと併用しながらエントリーの精度を高めることが重要です。今回はこのようなパラボリックの効果的な見方を動画で解説しておりますので、ぜひご覧ください。