日経平均株価は材料不足に加えて年末の閑散期でもあるため39,000円付近での横ばい状態が続いています。今回は信用残高と株価の動きの特徴や傾向について解説します。
信用残高とは、信用取引において現在ポジションとして残っている株数のことで、それぞれ「買い残」と「売り残」があります。買い残は信用買いを行った投資家がまだ返済していない株数を指し、売り残は信用売りを行った投資家がまだ返済していない株数を指します。
一般的に、買い残が増加すると「買いが増えている」と見られがちですが、実際にはそれだけ多くの投資家が「将来的に売らなければならない株」を抱えている状態を示しています。一方、売り残が増加している場合、それは空売りのポジションが増えていることを意味し、将来的な「買い戻し」が必要な株が増えている状態と言えます。
特に重要なのが「信用取り組み倍率」です。これは信用買い残を信用売り残で割った値で、一般的にこの倍率が高いほど株価が上値で重くなる傾向があります。なぜなら、買い残が多いほど将来的に売り圧力がかかりやすいためです。反対に、売り残が多い場合は買い戻しが株価上昇の要因となる可能性があります。
実際、株価が下落している局面では、買い残が増加する傾向があります。個人投資家が割安感を感じて難平買いをするケースが多いからです。しかし、これが後々の戻り売りの要因となり、株価が上昇しても上値が重くなったり、再び株価が下落する可能性があります。一方で、買い残が減少し、売り残が増加している状況では、株価が上昇に転じるケースも見受けられます。これは空売りの買い戻しによる株価上昇のサイクルが働くためです。
信用残高の推移を見る際には、全体の取引に与える影響というよりも、投資家心理を読み解く材料として捉えるのが適切です。信用買い残が増加している場合、個人投資家が買い目線であることが分かります。反対に、信用売り残が増加している場合は、個人投資家が天井を予想していると考えられます。
ただし、信用残高の動きだけで株価の未来を予測するのは困難です。他の指標や市場環境と併せて総合的に判断することが重要です。今回も動画で詳しいチャートを用いた解説をしておりますので、ぜひご覧ください。