新井邦宏氏の言いたい放題 第7回
相場で儲けるためには何が必要か
相場で儲けるためには何が必要か。「株の達人」が必要なことは言うまでもありませんが、「株の達人」があっても、相場そのものに「大きな強いトレンド」がなければ儲けることはできません。
しかし、悲しいかなこの「大きな強いトレンド」は、あと何年かしてみないと判らないものです。
よく、ジャンボ宝くじの世界では、西銀座チャンスセンターなどに行列をつくって購入者があとを断ちません。
これはそこで毎回当たりくじが出ている為で、自分もそこで買えば当たるかもしれないと考える為でしょうか。
確かに、理論的にはどこの売り場で買っても、当たる確率は同じ筈ですが。
ここには、理論的な問題ではない、別の要素があります。つまり、その売り場に積まれている宝くじの10枚入りの袋の中には、どこかに当たりくじが入っていて、自分は何百万ある袋の中から、当たりくじが入っている袋の前後5袋とか10袋買えば良いと考えるからです。
そして、今回はダメでも、毎回買っていれば、そのうち、当たりくじがある袋のあたりを掴んでくると思うのです。
そこで、購入者心理は、たった1回買わないとその時に限って当たってしまうかもしれないという一種の恐怖心から、毎回買う羽目になってしまいます。
この1等賞金が5万円なら、毎回毎回10袋も買う人はいないでしょう。
それはたまに当たってもトータルで損になるからです。しかし、1等賞金が1億円を超えるなら、当たれば一攫千金との思いで買い続けることになります。
一生買い続けても全く当たらない人もいれば、何度も当たる人もいます。
話を相場に戻すと、300円の株を1000株買って、それが400円になれば10万円の利益になります。
宝くじで10万円を儲けることは大変ですが、株の世界ではこのようなことはよくあります。しかし、損失はというと、時としてこれがゼロになることも、また10万円以上の損になることもあります。その点、宝くじは5万円買えば、損失は5万円で当たれば何億円。
つまり、コールオプションの買いのようなものです。
しかし、時として相場の世界では、300円(300万円)の銘柄が5000円(5000万円)になったり、2000円の銘柄(200万円)が19万 8000円(1億9800万円)になることもあります。
結果的にはそれだけ値上がりしているので、億万長者続出かと思うと、それはほんの一握りの人で、あとの人はカラ売りの買い戻しだったり、何を血迷ったのか高値を買いついた人ばかりです。
中には、安値を買っていて、そこまで値上がりしたのに利食いを行わす、相場が下落してくると今度は「高値覚え」で売るに売れなくなってしまい、最後は相当値下がりした処で利食うか、また値上がりするとの期待から元の値段に戻るまで持ち続けることになります。
まあ、結果がどうなるとしても、とにかく宝くじなら買わなければ当たらないし、株も安値から基調が変わったところで買っていなければその後の利益を享受することはできません。とにかく、相場の方向にあわせて売買するしかないのです。
しかし、現実には、何度買ってもそのようになるかは、余程の幸運が続かないと達成できないことが多いのです。
ですから、一度チャンスが訪れたら、そのチャンスを最大限に生かし、結果を追求しなければなりません。2000円で買ったものが3000円になったところで指し値をして売ってしまっては、絶対に19万8000円を取ることはできません。
この意味で、自ら天井を決めて、上値に指し値をして利食う方法では、絶対に1等賞金は貰えません。これは、またあとで話しましょう。
相場も同じで、仕掛けては少ない利食いか損切りで終わることがほとんどで、その仕掛けの中で、相場の動向と自分の仕掛けのタイミングが絶妙に重なり、その後、その銘柄に大きな相場が現れたらラッキーで、その時こそ、今までの損切りによる損失と今後の為の利益を稼げるだけ稼がないといけません。
それができないと、やればやるだけ負けが込んでくることになります。
よく、相場の世界では「1勝9敗で良い」という話があります。優秀なディーラーでも勝率は4割。これでも勝てるのは、損切りを最小限に押さえ込んでいるからに他なりません。
仮に100単位張ることができるなら、通常は1単位程度で売った買ったを繰り返します。
これは自分で売買し、相場の流れを掴むためです。そして、これはいけると確証を積んだ瞬間に大きなロットを投入します。
相場の方向(トレンド)が決まれば、あとはそれに乗っていくだけです。
相場の世界では、「大きな強いトレンド」に乗れることだけが大儲けできるか否かで、あとは小さな動きの中で利益を積み増すしかありません。
この為には、絶対に逆バリはしないことで、常に相場のトレンドと同じ方向に自分のポジション(建て玉)の方向を合わせることだけです。
私が、オシレーター系指標を使わなくなったのは、動きのない(少ない)相場の中では当たることがあっても、いざ大相場になった時には全く役立たないか、逆にこれに従うと死ぬほど損が拡大することを理解しているからです。
この為で、常にいつ当たりくじが出ても良いように、トレンド・フォロー(順バリ)路線を貫いているのです。