株価移動平均乖離率(株価カイリ率)の見方・使い方(2)
より実践的な株価移動平均乖離率の見方をご紹介します。
株価移動平均乖離率~基礎編~
株価移動平均乖離率は株価が移動平均値とどれだけ放れているかを数値として表した指標です。移動平均線が上昇中であるか下降中であるかは考慮せず、株価と移動平均線のカイリ率だけを問題にします。移動平均線に対する大幅なカイリ現象は必ず修正されるという経験則に基づいています。
計算式(25日のカイリ率を例にしています)
使用日数(一般的に使用する日数です)
日足:10日、25日、75日
週足:13週、26週
75日移動平均線を割り込んでから、大幅に売り込まれましたが25日移動平均線を基準に見た場合にはカイリ率が-20%を下回った後、反転しています。短期間に大幅下落が見られる場合、-20%を下回ると、さらに安くなるという見方よりも、ここから短期的に株価が値を戻す(リバウンド)という考えになって、移動平均線に対する大幅なカイリ現象は必ず修正されるという経験則から、リバウンド狙いのいわゆるツッコミ買いなるケースが多々見受けられます。高値で買っていた場合でも、あわてずに戻りを待ってからでも遅くはないでしょう。
週足チャートを見てみましょう。下段のカイリ率は13週カイリ率です。
週足チャートで、13週株価移動平均乖離率を見てみますと、マイナス幅の下限が-20%以下で下げ止まり、上限が+20%以上で目先戻り高値です。下落相場から上昇相場に転換する時は、下記の画像のように13週移動平均線を中心として上下に推移しますが、上昇相場の時はマイナスカイリにはなりにくく、下降相場の時はプラスカイリになりにくくなります。
株価移動平均乖離率~応用編~
株価移動平均乖離率と、その平均値(カイリ値平均線)を用います。
株価の振幅を見る株価移動平均乖離率と、さらにその平均値を用いることで、天井や底値圏のタイミングを捉える参考となるます。他の指標や抵抗線と合わせて見ることで判断力を高めます。テクニカル指標を用いた利用法では株価の変化を捉えやすい見方ができます。
<参考例>
カイリ率は株価の振幅(上下の動き)が大きい時に有効
目先の動きをみる・・・25日株価移動平均乖離率10日平均値
中長期の動きをみる・・75日株価移動平均乖離率20日平均値
カイリ率は、移動平均線に対し株価が一定幅の(カイリの)中で変動する性質を利用しようとする捉え方です。振幅幅が大きい時は何らかの事情が株価に影響しています。その振幅が大きい時にカイリ率そのものを平均化することで、カイリ率で見る転換点を捉えるのに有効です。
ダマシを少なくするために、中、長期的な天底は月足チャートを参考にして、日足チャートでタイミングを見るのに75日カイリ率(同平均20)、短期的な天底のタイミングには25日カイリ率(同平均10)等を用いるとよいでしょう。
執筆者紹介
伊藤正之
株式会社ストック・データバンク新宿事業所代表
手掛けた株価分析ソフト「株の達人」は、25年以上、延べ1.2万人以上の個人投資家の方々にご愛顧いただいています。(2024年5月現在)
同会員向けサイトでは、「日経平均株価の動き」等のチャート分析を活かした市況解説などでも会員の方々にご好評をいただいてます。
青木智
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)保持者
元・株式会社ストック・データバンク新宿事業所の投資コンテンツ担当。
現在はフリーランスで投資関連のコンテンツ等を手掛け、株の達人の会員サイト等にも動画や相場解説などのコンテンツを提供。
登録者数約3万人(2024年5月現在)の株の達人Youtubeチャンネルの動画も手掛ける。